時系列分析のすすめ

研究トピック

長期記憶過程と局所定常過程

平易に言うと: 「差分を1回取れば定常になる」単位根過程とは違い、記憶が非常にゆっくり減衰し続ける系列や、性質そのものが少しずつ変化し続ける系列がある。この2種類の「厄介な非定常性」を扱う。

前提知識

利用シーン

河川流量など水文学データの長期依存性分析、通信トラフィックの解析、金融ボラティリティの長期記憶性の検証。

単位根過程は、差分を取れば定常化できる非定常性を扱ってきた。しかし現実のデータには、これとは異なる性質の非定常性・長期依存性もみられる。

長期記憶過程

Hurst (1951) がナイル川の水位観測から見出したように、自己共分散が緩やかにしか減衰せずその総和が発散する系列を長期記憶過程と呼ぶ。FARIMAモデルは分数階の差分パラメータdを導入することで、整数階のARIMAでは表現できないこの緩やかな記憶減衰を捉える。

R(l)=O(l2H−2),1/2<H<1R(l) = O(l^{2H-2}), \quad 1/2 < H < 1

局所定常過程

一方、スペクトル構造(周期性や分散)そのものが時間とともに滑らかに変化する非定常性もある。局所定常過程は、観測時点を標本サイズで基準化した相対時刻uを導入し、各uの近傍では定常とみなせるが、u全体では構造が変化していく過程として定式化される。

どちらも、単位根のような「差分すれば消える」非定常性とは異なる、より豊かな非定常性・依存構造を記述するための枠組みである。

用語集

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