時系列分析のすすめ

古典的モデル

ARCH/GARCHモデル

平易に言うと: 値そのものではなく「値のブレやすさ(分散)」が時期によって荒れたり落ち着いたりする現象を、数式でモデル化する手法。金融データの定番。

前提知識

利用シーン

金融商品のリスク管理、オプション価格評価、VaR算出など、値動きの大きさそのものを予測・管理したい場面。

これまでの議論はデータの平均(期待値)が過去の情報にどう依存するかという条件付き平均の動学に焦点を当てていた。しかし金融時系列に顕著なボラティリティ・クラスタリング(変動の激しい時期が持続する現象)を捉えるには、分散そのものの動学変化を定式化する必要がある。

ARCHモデル

Engle (1982) が提示したARCH(p)モデルは、誤差項εtの条件付き分散htが、過去p期の誤差項の平方の線形結合で決定されると仮定する。

ϵt=ht νt(νt∼i.i.d. N(0,1))\epsilon_t = \sqrt{h_t}\, \nu_t \quad (\nu_t \sim \text{i.i.d.}\ N(0, 1))
ht=ω+∑i=1pαiϵt−i2(ω>0, αi≥0)h_t = \omega + \sum_{i=1}^{p} \alpha_i \epsilon_{t-i}^2 \quad (\omega > 0,\ \alpha_i \ge 0)

GARCHモデルへの拡張

Bollerslev (1986) は、ARCHモデルのラグ数が実務上肥大化する問題を解決するため、条件付き分散の式にそれ自体の自己回帰(ラグ項)を組み込んだGARCHモデルを開発した。平均の文脈におけるMAモデル(ARCH)をARMAモデル(GARCH)へ拡張したことに相当する。

ht=ω+∑i=1pαiϵt−i2+∑j=1qβjht−jh_t = \omega + \sum_{i=1}^{p} \alpha_i \epsilon_{t-i}^2 + \sum_{j=1}^{q} \beta_j h_{t-j}

GARCHモデルは少数のパラメータで金融市場のショックの持続性とボラティリティの非線形動学を効率的に記述する、現代の実証ファイナンスに不可欠なインフラである。

用語集

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