MAモデル(移動平均モデル)
平易に言うと: MAモデルは「直近の予想外の出来事(誤差)が、しばらく尾を引いて現在の値に影響する」という発想を数式にしたもの。
前提知識
- [[stationarity]] 定常性の考え方
- ホワイトノイズの概念
利用シーン
一時的なショックの影響が数期間だけ残るような系列のモデル化に使う。ARモデルと組み合わせたARMA・ARIMAの構成要素としても使われる。
MA(q)モデルの定義
\muは平均、\theta_iは移動平均係数、\epsilon_tはホワイトノイズである。
反転可能性(invertibility)
MA過程は係数の値によらず常に定常である。一方、現在の誤差を過去の観測値だけで一意に表せるためには反転可能性の条件を満たす必要がある。
この特性方程式の解がすべて単位円の外側にあるとき反転可能という。MA(1)なら|\theta_1| < 1が条件。
次数qの選び方
自己相関関数(ACF)がラグq以降で急激に0へ近づく(カットオフする)ことを目安にqを決める。
ARモデルとの違い
- AR: 過去の値に依存し、反転可能なMAなら無限次のMAとして書き直せる
- MA: 過去の誤差に依存し、係数の値によらず常に定常
用語集
- MA(移動平均): 過去の誤差の線形結合で現在の値を説明する成分
- 反転可能性: 誤差項を過去の観測値だけで一意に表現できる性質
- ACF(自己相関関数): 同じ系列の異なる時点の値どうしの相関