Box-Jenkins法とラグ演算子
平易に言うと: Woldの表現定理はパラメータが無限個ある理論的な形を保証するだけで、そのままでは推定できない。有限個のパラメータで実際に使えるモデルへ落とし込む標準手順がBox-Jenkins法である。
前提知識
- [[arima-basics]] ARIMAモデルの基礎
- [[wold-representation]] Woldの表現定理(概要でよい)
利用シーン
実際にARIMAモデルを構築する際の標準的な作業手順。ACF/PACFを見て次数を決め、推定し、残差を診断するという一連の流れとして、実務のモデリングでそのまま使われる。
Woldの表現定理が保証するMA(∞)過程はパラメータが無限個あり、そのままでは推定できない。実用的な有限個のパラメータで近似モデルを同定・推定・診断する枠組みがBox-Jenkins法である。
ラグ演算子による代数化
時間を1期バックさせる演算子zを導入すると、差分方程式を多項式として扱える。
同定・推定・診断の3段階
- 同定: ACF/PACFの減衰パターンから次数p, qの候補を絞る
- 推定: 最尤法などでパラメータを推定する
- 診断: 残差の自己相関検定でモデルの適合を確認する
用語集
- ラグ演算子: 時系列を1期過去にずらす演算子z (zX_t = X_{t-1})
- 同定: データからモデルの次数p, qの候補を絞る段階
- 推定: 定めた次数のもとでパラメータを求める段階
- 診断: 推定したモデルの残差を検証し適合を確認する段階